犬の療法食についてご存じですか?
犬の療法食とは?
犬の病気治療に必要な栄養をサポートする目的で、その治療内容に合わせ栄養成分を調整し、獣医師の指導のもと使用される食事をいいます。
ここでは、その療法食について詳しく解説していきます。どんなケアを目的とした療法食があるのでしょうか?
もくじ
1.皮膚疾患やアレルギーケアを目的とした療法食
皮膚疾患、例えばアトピー性皮膚炎や掻痒性皮膚炎などの治療を目的とした食事があります。
皮膚の免疫をサポートする成分であったり、炎症を抑える効果のある不飽和脂肪酸であるオメガ-3脂肪酸などが含有されていることがあります。
また、皮膚ケアと同時に食物アレルギーに対する対策がとられている場合が多くあり、アレルギー反応を起こす可能性が低いと言われている加水分解タンパク質が使用されていたりします。
食物アレルギーの種類によっては低アレルゲン食をすすめられる場合があります。
高消化性タンパク質や可溶性繊維および不溶性繊維を添加して便通状態を良くすることを目的としています。
2.消化器官のケアを目的とした療法食
消化器官の疾患は皮膚疾患と並んで犬の病気でも特に多いものとなっています。炎症性腸疾患や食事反応性腸症、リンパ管拡張症、膵炎、それと便秘などもここに分類されます。
特徴としては消化に負担をかけない低脂肪食や腸の働きを助ける高食物繊維食などがあげられます。リンパ管拡張症や膵炎などには低脂肪食が良いとされています。
また、消化器官の不良などで下痢や嘔吐をすると体内から電解質やビタミンB群などの栄養素が不足することから、これらの栄養素が補給できるように添加されている場合もあります。
3.尿石のケアを目的とした療法食
尿石症とは、尿の中に含まれるミネラル成分が結晶となることで腎臓や膀胱、尿道中で結石となって様々な症状を引き起こす病気です。
犬の尿石症のケアには尿路からの感染症管理が重要となります。
尿路が細菌性の感染症に罹ることで尿のpH値が上がりアルカリ性に傾き尿路結石症を引き起こすストルバイト結石が作られやすくなるためです。
このため、尿路の感染症を予防することは尿石症予防に非常に重要と言えます。
また、
尿路結石には様々な種類がありますが、カルシウムやマグネシウム、リンなどの結石の原因となるミネラル分を調整することが大切です。このため尿石ケアを目的とした療法食にはカルシウムの排出を助けたり、結石そのものの形成を抑える成分が含まれています。
4.腎臓のケアを目的とした療法食
犬の腎不全の疾患率は人間と同じく加齢とともに上がっていくとされています。
腎臓の役目として身体の毒素を尿とともに排出したり、血圧の調整などをしたりして身体を健康に保つこと主な機能となります。そして、これらの機能が低下することを腎不全といいます。
腎不全の犬には腎臓に負担をかけない低脂肪食や低ナトリウムの食事が良いとされています。
ちなみに一度失われた腎機能はもう回復しないと言われており、腎不全と診断された場合、治療ではなく病気の進行を抑えることが目的となります。
また、膵炎やアレルギー性皮膚炎の療法食と腎不全の療法食はその成分が相反する場合があるため利用の際は獣医師へよく相談して食事を決めてください。
5.体重ケアを目的とした療法食
当たり前ですが、摂取エネルギー>消費エネルギーが続くと犬も肥満になります。犬は人間と違い理性で食欲をコントロールすることができませんので療法食でケアをすることが必要になってきます。
脂肪分を減らした低エネルギー食や、食物繊維を添加して満腹感を得られるようにしたり、減量時の筋力低下を防ぐためタンパク質を強化したものがあります。
ただ、人間と同じく極端なダイエットは犬にも悪影響をもたらします。
胃酸過多が起きたり、空腹に我慢できずに道端に落ちているものを食べてしまうなど日常生活にも支障が出る場合があります。獣医師と相談して無理のないダイエット計画を立ててください。
また、肥満は万病のもととも言われ様々な病気の入口になることがありますので普段から愛犬の食事カロリーには十分気をつけてあげてください。
6.関節ケアを目的とした療法食
犬にも脱臼や関節炎などで歩行に影響が出てしまうことがありますが、これらをケアするための療法食も作られています。
人の関節ケアのサプリメントでも良く聞かれることのあるコンドロイチンやグルコサミン、不飽和脂肪酸など、関節の軟骨に良いとされる成分が配合されています。
また前述した肥満も関節に負担をかける大きな原因となります。
このため関節をケアする栄養素を配合しながら減量を助ける成分が含まれていることもあります。
最後に
療法食は医師の指導のもと利用するのが原則となります。
必ずかかりつけの獣医師に相談してもらうことをオススメします。
犬は人間のように身体の不調を言葉で伝えることができません。
普段から飼い主さんが愛犬の様子に目を配り変化を早期に見つけることが重要となります。
あとがき
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